「商品やサービスを売りたい!」
「自社の利益を上げたい!」
このように思うことは悪いことではありません。
自分の会社を倒産させないように、家族や社員にご飯を食べさせてあげられるように…売上の目標を掲げる。
これはとても大事なことです。売上の数字はそのまま、社会や他者への貢献した結果ですから。
しかし中には『売ること』が目的になってしまっている方もいます。
不思議なことに『売ろう売ろう』とするほど、それに呼応するように売れなくなってしまう現象があります。
これを私はセールスのジレンマと呼んでいます。
売ろうとするほど、売れない
売ろうとするほど、売れなくなる。
絶対ではないにしろ、このセールスのジレンマは存在します。
そしてこれは営業はもちろん、セールスコピーライティングにおいても同様です。
LPやセールスレター、メールマガジンでも、前に『売りたい』という気持ちが前に出ていれば、見込み客は敏感に察知します。
「何か、売り込まれているな」
そのように少しでも思ったら、心のシャッターが降りて二度と開くことはありません。
売ることが目的になることの怖さ
『売ること』が目的になると、どうしても「売りたい気持ち」が文章の端々、に見え隠れします。
そして先ほどもあったように、見込み客は少しでも「売られている」と感じれば、シャットアウトしてしまいます。
また関係性がある程度できている一度商品を購入した顧客であっても、信頼をなくしあなたの元を離れてしまう可能性だってあります。
「売りたい気持ち」を相手視点で見てみると、、、
「ねえ、これ買ってよ!めっちゃいい商品だよ!ねえ、買ってくれない?ねえねえ」
単純に「うっとおしいな」「うるさい、どっか行け」くらいのマイナスの感情しか持てないと思います。
売ることを目的にしてしまうと、相手の都合関係なしに売り込もうとしてしまいます。
でも考えてみてください。
そもそも商品・サービスは、どんな目的で作られるのでしょうか?
その商品・サービスは誰のためのものか?
「商品やサービスが爆発的に大ヒットした!」
「1週間で数億円売り上げました!」
このような話を聞くと、私たちは「どんな方法で売ったのだろう?」とか「どれだけ刺激的なコピーを書いたのだろう?」と手段やノウハウに注目しがちです。
もちろん画期的なプロモーションやレベルの高いセールスコピーが、売上に影響するのは間違いありません。
しかし本質的に重要なのは、「その商品やサービスは、誰のためのものなのか?」を明確にして作られた商品・サービスであること。
語弊を恐れずに言うのなら、世の中に『売ること』を目的にした商品・サービスはなく、あるとするなら詐欺商品となんら変わりありません。
商品やサービスを作る時には、
- これを使うことで、こんな人を幸せにしたい
- こんなことで困っている人の力になりたい
- 自分の経験を他の人のために役立てたい
など、社会や他者への貢献などの信念が存在するはずです。
この商品・サービスの想いと、社会的なニーズや見込み客の欲求が上手くマッチしていれば、必然的に売れてしまうのです。
セールスの中心は顧客にある
『商品・サービスを売ること』を目的にするのではなく、『この商品・サービスでこんな人の悩みやこんなことを解決したい』という目的になったときに、セールスの伝え方はまるで変わってきます。
例えば忙しいママたちの家事の負担を少しでも減らしたいと思い、作られた商品『食洗機』で考えてみましょう。
この食洗機はキレイにお皿が洗えて、時間も手間がかかりません。食洗機が食器を洗っている間にあなたは自由に過ごせます。
しかも水道代も普通に洗い物するよりも安く抑えられるので、家計にも優しいのです!
このように商品のメリットや機能に関することから、相手に伝えようとします。
この商品はこれだけ素晴らしくて、あなたにはこんなにメリットがあるんですよ!と先に伝えているのです。
一方、、
子どもとの時間をもっと作りたい。忙しくてイライラしてしまい、子どもや夫に怒ってしまう…とお悩みではありませんか?
あなたの家事の負担を少しでも減らし、家族との素敵な時間を過ごすために、この食洗機は作られました。
この食洗機はキレイにお皿が洗えて、時間も手間がかかりません。食洗機が食器を洗っている間にあなたは自由に過ごせます。
しかも水道代も普通に洗い物するよりも安く抑えられるので、家計にも優しいのです!
このように『あなたのこんな悩みを解決するための商品ですよ』と先に伝えています。
またお気づきかもしれませんが、最後の食洗機のメリット部分はさっきと全く一緒です。
前者は『商品を中心』に語り、後者は『顧客を中心』に語っています。
もっとわかりやすく言うと、『商品を中心』に語るのは自己中心的な発言で、『顧客を中心』に語るのは相手のことを考えた思いやりに溢れた発言なのです。
商品を売りたいと思うのなら、相手目線に立ち、相手の痛みを理解してあげることが重要です。
相手への思いやりがないセールスに顧客は応えてくれない。そのように私は思います。
まとめ
今回はセールスのジレンマについて、お話してきました。
もう一度言いますが、『売りたい』と思うことは決して悪いことではありません。
その『売りたい』の気持ちの根底に“自分がいるのか相手がいるのか”で伝え方が変わり、結果が変わってくるのだと思います。
セールスの基本は『相手の悩みを解決することにある』
いつも私はこれを未熟な自分に言い聞かせ、間違わないように細心の注意を払っています。
今回の話を当たり前のことと感じた方もいるかもしれません。しかし人間は不思議なもので、いつの間にか目標が目的にすり替わり、そのまま気づかずに本来の目的とは全く違う方向に進むこともあるのです。
当たり前だけど…難しい。
セールスや商品・サービスを取り扱うものとして、本質を見失わないようにしたいものです。